トレーナーの役割
佐々木潤子 KPA-CTP CTDP-KA
犬の飼い主さんから料金を頂いて、飼い主さんの望むレッスンを提供する。それが、家庭犬ドッグトレーナーの仕事であるとします。
えっ? 飼い主さんの望む? それって、その犬のためにもなることなのか?
私は、もともと『躾け』という言葉が嫌いです。かなり上から目線の言葉に感じるからです。人間の親が、自分の子供を躾けるのは、我が子の事を思い、その子のために色々と教えたりサポートしたりするわけです。この場合、親は自分の経験や知識から、良かれと思う方向へ導こうとしているわけです。それでも、時には、子供のためという本来の目的を忘れて、自分の理想や見栄で子供を苦しめてしまっている事実もあります。『躾け』とは、その学習者である子供のためでなくてはいけないと思います。
なので、ドッグトレーニングも、飼い主さんにとって都合の良い犬にするのではなく、犬のために行われなくてはならないのです。
私達人間は、犬という動物になった経験はないので、犬として何が良いかなんて、私達が指導することは不可能です。まして、犬という動物を勉強しようともせずに、迎え入れる飼い主さんは、何を考えているのかと思います。何も考えていないですね。恐ろしいです。
私達人間は、異種の犬という動物のことを学び、福祉の観点から、人間社会で生きて行かなくてはならない犬の、優れたガイド役にならなくてはいけないと思います。
人間のために働く犬の場合であっても、犬の適正をしっかりと見極め、トレーニングは現代的な最新の方法で行われるべきだと信じます。
自分に都合の良いように犬をトレーニングしてくださいっていう飼い主さんには、その部分に気付いてもらわなければ、その犬の幸せはないと思います。トレーニングは犬の為でなくてはいけません。そして、飼い主さんは、知識と技術を身に付けるために努力をしなくてはならないのです。その飼い主さんを、導くことが私達トレーナーの役割です。
トレーナーになった理由も、様々だと思います。犬が好きだからというのが一番多いのではないでしょうか?だとしたら、その大好きな犬が幸せに暮らせるように、全力尽くすべきでしょう。
ハンドリングの技術が上手なだけで、日々、進歩しているトレーニングの知識と技術をアップデートしないで、トレーナーを続けている方が居たら、疑問を感じて欲しいです。情報は自分から取りに行かなくては手にすることは出来ません。
犬が、話さないのを良いことに、行動が変わらなかったら、犬のせいや、飼い主さんのせいにする。確かに、犬をトレーニングすることより、飼い主さんのトレーニングは難しいかもしれません。しかし、それこそが、家庭犬トレーナーの仕事です。
飼い主さんと共に、犬の幸せのために、その子のための個別オーダーメイドトレーニングを実践するべきでしょう。
自分の知識、技術に自信があるなら、他のトレーナーに教えてあげたら良いと思います。その技術は簡単には教えられないとしているなら、犬のために働いているのではないですよね。一人でどれだけの犬を幸せに出来るのでしょう。心が狭い。その辺が、色々な場面での日本人のあるあるかな。自分のことしか考えられない人が多いと思います。
見てみないふり、厄介に巻き込まれたくない。私は、逆にお節介なので、嫌われることも多々ありますが、、、、、いいんです。
犬を助けたいなら、そのために信じられる仲間を増やしていく方が、より多くの飼い主さんにメッセージを伝えられるでしょう。トレーナーの能力が上がれば、トレーニングを受けようとする飼い主さんを増やすことも出来ると思います。日本はトレーニングを受けずに犬を飼っている人が殆どです。それは、受けても、変わらない。もしくは悪化させてしまっている場合もあるでしょう。
トレーナーは、犬のために情熱をもって、常に勉強を続けてほしいです。かけがえのない命を相手にしていることを忘れずに!!